野口会について

野口会は、「近代空手道の父」と称される船越義珍(ふなこし ぎちん)翁の薫陶を受けた野口宏師範が、その伝統的な「形」を正しく継承し、後世に伝えていくことを目的として設立されました。

空手道の始祖・船越義珍翁

船越義珍先生は、1868年(明治元年)に沖縄の首里でお生まれになり、11歳の頃より糸洲安恒、安里安恒の両先生から唐手の手ほどきを受けられました。

その後、唐手の普及に情熱を注がれた船越先生は、1923年(大正12年)に上京し、東京の小石川水道町にあった「明正塾」にて指導を開始されます。その際、難解であった「唐手」を、より普遍的な理念を持つ「空手」へと改め、近代空手道の礎を築かれた始祖として知られています。

「空手に流派なし」という理念

今日、伝統空手は以下の四大流派に大別されることが一般的です。

  • 松濤館流(開祖:船越義珍)
  • 剛柔流(開祖:宮城長順)
  • 糸東流(開祖:摩文仁賢和)
  • 和道流(開祖:大塚博紀)

各流派はそれぞれの開祖によって名乗られましたが、船越先生ご自身は生前、**「空手に流派はない」と常に語っておられたと伝えられています。これは、形や組手のスタイルに違いはあっても、人格の完成を目指すという武道の本質、すなわち「空手道が求める境地は一つである」**という、普遍的な理念を示されたお言葉でありましょう。

野口会は、この船越先生の崇高な精神を受け継ぎ、日々の稽古に励んでおります。